とう

とう
I
とう
(動ワ上二)
うねり動く。

「昼は雲~・ゐ夕されば風吹かむ/古事記(中)」

II
とう
[トフ](連語)
「といふ」の転。

「これやこの名に負ふ鳴門の渦潮に玉藻苅る~・ふ海人娘子(アマオトメ)ども/万葉 3638」

III
とう【党】
(1)目的・利害などを同じくする人々の集団。 仲間。 ともがら。

「~をなして横行する」

(2)政治的主張を同じくする人々の集まり。 政党。

「~の方針に従う」

(3)中世の武士の集団。 鎌倉時代には惣領を中心とした同族的結合であったが, 南北朝期頃から地域的結合に変化。 武蔵七党・松浦(マツラ)党など。
IV
とう【刀】
(1)かたな。 刀剣。 ナイフ。
(2)解剖・手術用の小刀。 メス。
(3)中国古代の青銅貨幣の一。
刀銭
V
とう【唐】
(1)中国の王朝名。 (ア)李淵(高祖)が隋の恭帝の禅譲をうけて建てた統一王朝(618-907)。 都は長安。 律令制・均田制・租庸調制・府兵制による中央集権体制を確立。 文化が大いに興隆, 当時世界の一大文明国となり, 日本も遣唐使を派遣して文物・制度の導入に努めた。 安史(アンシ)の乱以降衰え, 朱全忠に滅ぼされた。 李唐。 (イ)五代の一。
後唐
(ウ)五代十国の一。
→ 南唐
(2)転じて, 中国のこと。 また, 外国。
~へ投げ銀(ガネ)
鎖国以前の朱印船貿易時代, 海外へ投資すること。 海難の恐れが多く無謀な投資のたとえにもいう。

「~の大気先は見えぬ事ながら/浮世草子・永代蔵 4」

VI
とう【問う】
(1)知りたいことをたずねる。 きく。 質問する。

「予定を~・われた」「賛否を~・う」「民意を~・う」「国民に信を~・う」「足手をはさみ, さまざまにいため~・ふ/平家2」

(2)(多くは受身形で用いる)しかるべき力量・能力・価値があるかどうかを問題とする。

「指導力が~・われている」「鼎(カナエ)の軽重(ケイチヨウ)が~・われる」「真価が~・われる」

(3)その人に罪・責任があるとしてきびしく責める。

「贈賄罪に~・われる」「今日の事態を招いたことの責任を~・う」

(4)問題として取り上げる。

「学歴を~・わない」「過去は一切~・わない」「洋の東西を~・わず…」

(5)話しかける。 呼びかける。

「さねさし相模(サガム)の小野に燃ゆる火の火中(ホナカ)に立ちて~・ひし君はも/古事記(中)」

(6)求婚する。

「下どひに我が~・ふ妹を/古事記(下)」

(7)占いをして結果をみる。

「門に立ち夕占(ユウケ)~・ひつつ/万葉 3978」

‖可能‖ とえる
問うに落ちず語(カタ)るに落ちる
人に聞かれたときは用心して秘密をもらさないが, 自分から語るときには油断して本音をもらしてしまう。
問うは一度の恥(ハジ)、問わぬは末代(マツダイ)の恥
「聞くは一時の恥, 聞かぬは末代の恥」に同じ。
VII
とう【塔】
(1)〔仏〕
〔梵 stūpa の音訳「卒塔婆」, およびその略である「塔婆」の略。 頂・堆土の意〕
供養・祈願・報恩のために建てられる多層の建造物。 元来は仏の遺骨や遺品を収めた各種の建造物をいう。 死者の墓の上に建てられる木や石の墓標なども塔と呼ばれ, 国や時代により形態は多様。
(2)高くそびえ立つ細長い建物。

「放送用の~」

VIII
とう【当】
(1)道理にかなっていること。

「~を得た答え」

(2)「当の…」の形で連体詞として用いる。
当の
(3)〔仏〕「当来」の略。 未来のこと。
(4)名詞の上に付いて, 「この」「その」「私どもの」, また, 「現在の」「今話題にしている」などの意を表す。

「~劇場」「~案件」

~を失(シツ)・する
道理にかなっていない。 適当でない。
IX
とう【投】
(1)野球で, 投手力。

「~打そろったチーム」

(2)(接尾語的に用いて)投げた回数を表す。

「槍投げの第一~」

X
とう【杜宇】
ホトトギスの異名。
XI
とう【東】
姓氏の一。
XII
とう【棟】
※一※ (名)
むねの長い建物。 大きい建物。

「同じ~の住人」

※二※ (接尾)
助数詞。 建物の数を数えるのに用いる。

「アパート一〇~が建つ広さ」

XIII
とう【榻】
こしかけ。 床几(シヨウギ)。

「学校の~に坐して/即興詩人(鴎外)」

XIV
とう【湯】
殷(イン)の湯王のこと。
~の盤銘(バンメイ)
〔大学〕
湯王が沐浴(モクヨク)の盤に刻んで自らの戒めとした言葉。 すなわち「苟日新, 日日新, 又日新」
XV
とう【灯】
※一※ (名)
ともしび。 あかり。
※二※ (接尾)
助数詞。 電灯の数を数えるのに用いる。

「一室二~」

~滅(メツ)せんとして光を増す
〔法滅尽経〕
ともしびが消える直前, ぱっと明るく輝くこと。 ものが滅びる直前に一時的に盛んになることのたとえ。
XVI
とう【疾う】
〔形容詞「とし」の連用形「とく」のウ音便〕
はやく。

「歩み~する馬をもちて/竹取」

→ 疾く
XVII
とう【等】
※一※ (名)
等級。 階級。 段階。
※二※ (接尾)
(1)同種のものを列挙し, そのようなものがほかにもあることを表す。 など。

「米・英・仏~を歴訪」

(2)助数詞。 順位・等級などを数えるのに用いる。

「一~賞」「勲三~」

XVIII
とう【答】
(1)返事。 こたえ。
(2)返礼。

「降りて~の拝し給ふ御ありさまども/源氏(宿木)」

答拝
(3)仕返し。 意趣返し。

「これが~はかならずせむと思ふらむと/枕草子 276」

XIX
とう【籐】
ヤシ科のつる性常緑木本。 東南アジア・中国南部・台湾などに分布。 茎は長く伸び強靭な繊維がある。 葉は大形の羽状葉。 葉の中軸や茎には鋭いとげがありこれで他物によじのぼる。 雌雄異株。 果実の外面の鱗片は赤色着色料の原料とする。 茎で籐椅子や籐細工を作る。 タイワントウ・ロタントウなどがある。 ラタン。
XX
とう【糖】
炭水化物のうち, 水に溶けて甘味を示すものの総称。 単糖類(果糖・ブドウ糖)および大部分の少糖類(ショ糖・麦芽糖)がこれに含まれる。 広義には糖類をさすことも, また単糖類と同義に用いることもある。
糖類
XXI
とう【統】
(1)代々受け継がれて一続きになっているもの。

「日の神ながく~を伝へ給ふ/正統記(序)」

(2)地質時代区分の「世」の期間に形成された地層・岩体。 例えば, 中新世の地層は中新統という。
XXII
とう【薹】
〔形が塔に似ているところからいうか〕
アブラナ・フキなどの花茎。
~が立・つ
(1)野菜などの花茎が伸びて硬くなり食べ頃を過ぎる。
(2)若い盛りの時期が過ぎる。 年頃が過ぎる。
XXIII
とう【藤】
姓氏の一。
XXIV
とう【訪う】
〔「問う」と同源〕
(1)人に会うために, またある物・場所を見るために, その家や場所に行く。 おとずれる。 訪問する。

「首相を私邸に~・う」「古都を~・う」

(2)さがし求める。

「山ひこのこゑのまにまに~・ひゆかば/後撰(恋五)」

(3)見舞う。

「人の愁・喜をも~・はず/徒然 112」

(4)とむらう。 追善する。

「人を~・ふ鐘の声こそあはれなれ/詞花(雑下)」

XXV
とう【豆】
中国古代の高坏(タカツキ)に似た, 食物を盛るのに用いた器物。 青銅製の礼器は, 西周時代に現れ, 春秋時代に蓋のつくものがみられるようになった。

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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